住まいに関する基礎知識
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住宅の種類と選択肢

戸建てとマンション

山梨県で考える、持ち家の選択肢[マンション編]
-戸建てとマンションの比較-

山梨県で住まいを探す際、多くの方は戸建て住宅を第一候補に考えるかもしれません。しかし、利便性や管理のしやすさ、さらには資産性といった観点から、マンションという選択肢も見逃せません。この記事では、山梨県のマンション事情を概観しつつ、マンションのメリットや注意点、戸建てとの比較を通して、住まい選びのヒントをお伝えします。

山梨県のマンション事情

令和5年の住宅・土地統計調査によると、山梨県内で居住世帯のある3階建て以上の分譲マンションは約5,500戸です。そのうち、甲府市が約4,310戸と全体の約78%を占めており、駅周辺や市街地に集中しています。甲府市以外では、笛吹市や昭和町といった利便性の高いエリアに加え、富士北麓・八ヶ岳南麓・温泉地などに、1970〜1990年代に建てられたリゾートマンションも一定数みられます。
ただし、山梨県全体の持ち家戸数(約231,100戸)に対して、マンションが占める割合は約3%と低く、新規供給も多くないのが現状です。


山梨県内の新規分譲マンションの着工戸数(過去10年の新設住宅着工戸数より)
年度2015201620172018201920202021202220232024
戸数(戸)172803495370007819120

マンションの強み:管理のしやすさと利便性・資産性

マンションの大きな魅力の一つが、管理のしやすさです。共用部分の清掃や修繕、草刈りといった手間のかかる作業は、多くの場合管理会社が対応するため、住民自身の負担は大幅に軽減されます。単身世帯や共働き世帯、高齢者世帯にとって、日々の管理に煩わされない点は安心感につながります。また、マンションは駅や商業施設の近くに立地することが多いため、生活インフラが整っている点も大きなメリットです。利便性の高さに加えて、人口が集まりやすいエリアであることから、資産性が比較的安定しやすいという特徴があります。将来的に売却や賃貸に出す際にも需要が見込め、資産価値が下がりにくい傾向があります。
こうした特性から、マンションは住み替えを前提としたライフプランを描く世帯にとっても、有力な選択肢となり得ます。

住み替えの具体例

  • 子育て期はマンションに住み、実家が空き家になるタイミングでマンションを売却し、実家へ移る。
  • 子育て期はマンションに住み、子育て終了後にマンションを売却して夫婦二人向けの住宅へ住み替える。
  • 婚姻後から子育て初期はコンパクトなマンションで暮らし、子育て期は広めの戸建て住宅等に(その間マンションは賃貸に出すなど)、子育て終了後に再び元のマンションへ戻る。

このようにマンションの資産性をうまく活かすことで、ライフステージに応じた質の高い住環境を維持することが可能です。このほか、オートロック、監視カメラ、管理人の常駐といったセキュリティ面や、共用ラウンジ・ゲストルームなどの施設が整っている場合はさらに魅力です。

マンション購入時の注意点

マンションには多くのメリットがありますが、購入にあたって押さえておきたい注意点もいくつかあります。以下のポイントを事前に理解しておくことで、入居後のトラブルを避けやすくなります。

管理組合の負担

マンションを購入すると、管理組合の一員となり、理事や役員を担当する可能性があります。マンション全体の運営に関わるため、一定の時間や労力が必要になる場合があります。

維持管理費

共用部分を維持するための管理費や修繕積立金の支払いが必要です。将来、大規模修繕などで負担が増える可能性や値上げリスクがある点にも注意が必要です。

駐車場の確保

駐車場は敷地内に設けられているケースが多いですが、利用には料金がかかります。また、2台目以降は敷地外で確保しなければならないこともあります。

騒音トラブル

上下階・隣室との距離が近い共同住宅のため、防音性能の確認は重要です。特にこれまで戸建てで生活していた方は、生活音に関する感覚の違いに注意が必要です。

中高層マンションのリスク

中高層マンションでは、以下のようなリスクが想定されます。

  • 朝のエレベーターの混雑
  • ビル風による高層階の揺れ
  • 停電時にエレベーターが停止し階段での移動が必要
  • 給水ポンプが停止することで断水が発生する可能性

断熱性能

マンションはコンクリート造であることが一般的で、構造体が一体化しているため、断熱材で完全に囲むことが難しく、戸建てより断熱性能が劣る傾向があります。夏の熱気や冬の寒さへの対策を確認しておくことが大切です。

新築マンション購入時

人気の住戸は、建物完成前に売り出される「青田売り」が一般的です。この場合、価格が高めに設定されることがあります。一方、完成後の購入ではオプション追加や仕様変更ができないケースもあります。

中古マンション購入時

中古マンションでは、以下の項目を事前にチェックすることが重要です。

  • 管理状況
  • 修繕履歴
  • 修繕積立金の残高
  • 滞納率

これらを確認することで将来的なリスクを見極めやすくなります。

建て替え

築年数が進んだマンションでは、将来的な建て替えの可能性も考えられます。建て替えには多額の費用が必要で、住民の合意形成もハードルが高く、特に中古マンションではリスクとして認識しておく必要があります。

戸建てとの比較

マンション戸建て
コミュニティ管理組合の一員となり、住民同士の関係性が比較的密接。関係性は緩やか。自治会の一員。
維持管理管理組合が担当。管理費・修繕積立金が必要。エレベーターや給水ポンプなど維持費が高額な設備が多く、外壁補修も大規模な足場が必要なため、住戸当たりの維持費は一般的に戸建てより高くなる傾向。自己管理。庭の手入れなど負担が大きい。あらかじめ修繕費用を自分で積み立てておく必要がある。
資産性一般的に高い資産性を維持しやすい。立地により資産性が大きく左右される。
断熱性能高い断熱性能を確保したマンションは比較的少ない。木造などで高い断熱性能を確保しやすい。
騒音トラブル防音性能の確認が必須。
上下階・隣室への生活音の配慮が必要。
隣地との距離、接道道路の交通量などに左右される。高断熱・高気密住宅は、防音性能も高い。
購入時期供給量が少なく、計画的購入が難しい。
新築の場合、人気の部屋は完成前の青田売りが一般的。
土地探しにおいては、マンション同様タイミング次第。土地取得後は自由に建築可能。
ただし、住宅が建つまでの間、固定資産税及び都市計画税の住宅用地特例(減税)が適用されない。
また、草刈りなどの負担も生じる。

まとめ

山梨県はマンションの供給量こそ多くありませんが、立地の利便性や管理のしやすさ、資産性といった観点から、特定のライフステージでは十分に魅力的な選択肢となります。特に、将来的な住み替えを前提としたライフプランを考える場合、マンションの資産性を活かすことで、より柔軟で合理的な住環境のアップデートが可能になります。


一方で、管理組合の運営負担、管理費・修繕積立金といった維持管理費、断熱性能など、戸建てとは異なる注意点も存在します。また、購入前には立地や性能だけでなく、将来の住み替えを見据えた費用計画まで含めて検討することが重要です。
住まい選びの選択肢に「マンション」を加えて考えることは、住まいに関する知識や判断力を高めることにもつながります。これまで戸建てを前提としていた方も、一度マンションという選択肢を検討してみる価値があるかもしれません。