住まいに関する基礎知識
Housing Performance and Comfort

住宅の性能

住宅の性能

家選びの“共通のものさし”
-住宅性能表示制度とは?-

家は人生で最も大きな買い物の一つ。それなのに、住まいの本当の性能は完成すると壁や床下に隠れて見えなくなり、専門用語も多く、会社ごとに説明の仕方もバラバラです。「この家は本当に良い家なのか」を見比べるのは、実はとても難しいことなのです。そこで役立つのが、住まいの性能を“誰が見ても同じものさし”ではかれるようにした「住宅性能表示制度」です。
この記事では、制度そのもののねらいと仕組みをやさしく解説します。耐震性(構造の安定)や省エネ(温熱環境)といった個別のテーマを学ぶ前の、共通の土台になります。 

なぜ“共通のものさし”が必要なのか 

住まいの性能の多くは、暮らし始めてからすぐにはわかりません。地震への強さ、長持ちのしやすさ、夏冬の快適さ――どれも目で見て比べるのは困難です。

一方で、私たちは自家用車や家電、パソコンやスマートフォンを購入する際、燃費や消費電力、処理性能やストレージ容量といった「スペック」を確認し、比較しながら選ぶことが一般的です。見た目や価格だけでなく、その中身の性能を重視するのは、ごく自然な判断といえるでしょう。

しかし、住宅についてはどうでしょうか。見た目の印象や間取り、価格に目が向きがちで、耐震性や耐久性、断熱性といった“住まいのスペック”まで十分に比較検討されているでしょうか。本来、家づくりにおいてもこうした性能こそが、長く安心・快適に暮らすための大切な判断材料になるはずです。

さらに、住宅会社ごとに独自の言葉やキャッチコピーで性能をアピールするため、別の会社の家と公平に比べることが難しくなりがちです。

そこで、国が共通のルールを決め、第三者が同じ基準で評価して“見える化”する仕組みが用意されました。これが住宅性能表示制度です。

住宅性能表示制度とは 

住宅性能表示制度は、2000年(平成12年)に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」にもとづく国の制度です。住まいの性能を評価・表示するための共通ルール(日本住宅性能表示基準)と、その評価のやり方(評価方法基準)が、国の告示などによって定められています。 

制度の3つのポイント 

  • 共通ルールで評価する … 国が定めた基準で評価するので、住宅会社が違っても同じものさしで比較できます。 
  • 第三者が評価する … 評価するのは、国に登録された専門機関(登録住宅性能評価機関)。売り手でも買い手でもない中立の立場でチェックします。 
  • 等級・数値で表示する … 性能は分野ごとに「等級」や数値で示され、原則として等級の数字が大きいほど高性能を意味します。 

この制度の利用は義務ではなく任意です。ただし、後から見えなくなる性能を第三者の目で“形に残せる”ため、住宅を購入する際には活用をおすすめできる仕組みです。 

やまなしKAITEKI住宅では、住宅性能評価の実施を義務付けています。

2種類の評価書と評価の流れ 

制度を利用すると、評価機関から「住宅性能評価書」が交付されます。評価書には次の2種類があり、それぞれ法律にもとづくマークが付きます。 

  • 設計住宅性能評価書
    設計図書(図面)の段階で、計画上どのような性能になるかを評価したものです。
  • 建設住宅性能評価書(既存住宅の場合は、現況検査・評価書) 
    施工段階と完成段階の現場検査を経て、図面どおりに造られているかを確かめたうえで交付されるものです。実際に建った家の性能を裏づけるものといえます。 

おおまかな流れは、申請 → 設計図書の評価(設計住宅性能評価書)→ 施工中・完成時の検査 → 建設住宅性能評価書の交付、というものです。契約時に評価書を契約書に添付することで、評価書に記載された性能が契約内容として扱われます。また、万一トラブルが起きたときは、専門の紛争処理機関を利用できる仕組みもあります。 

10分野33項目と「等級」の考え方 

新築住宅では、住まいの性能が10の分野・33項目にわたって評価されます。分野はおおむね次のとおりです。 

  • 構造の安定(地震・風・雪などへの強さ) 
  • 火災時の安全 
  • 劣化の軽減(家の長持ちのしやすさ) 
  • 維持管理・更新への配慮(点検・交換のしやすさ) 
  • 温熱環境・エネルギー消費量(断熱・省エネ) 
  • 空気環境/光・視環境/音環境/高齢者等への配慮/防犯 など 

特に重要な“必須4分野”

10分野のうち、「構造の安定に関すること」「劣化の軽減に関すること」「維持管理・更新への配慮に関すること」「温熱環境・エネルギー消費量に関すること」の4分野は、評価を受ける際の必須項目とされています。住まいの基本性能を支える、特に大切な分野です。 
等級は、原則として数字が大きいほど高い性能を表します。多くの分野で、等級1は建築基準法など法律で求められる最低限のレベルにあたり、等級2・等級3とより高い性能が用意されています。具体的な中身は分野ごとに異なるため、本サイトでは各分野を個別の記事で詳しく解説していきます。 

制度を利用するメリット 

制度の利用には、次のような利点があります。 

  • 第三者評価により性能が客観的に示され、契約の透明性が高まる(評価書を契約書に添付すると契約内容になる)。 
  • 万一のトラブル時に、指定紛争処理機関を利用できる。 
  • 耐震等級に応じて地震保険料の割引が受けられる場合がある。 
  • 性能の高い住宅は、資産としての評価や売却時の魅力が高まることが期待される。 

制度を上手に使うために ― まとめ 

住宅性能表示制度は、見えない住まいの性能を、国の共通ルールと第三者の評価によって“見える化”する仕組みです。家づくりの際には、次の点を意識すると失敗が減ります。 

  • 図面段階の「設計住宅性能評価書」だけでなく、現場検査を経た「建設住宅性能評価書」まで取得する計画かを確認する。 
  • 自分が重視する分野の等級をチェックする。 

まずは制度の全体像を把握することが第一歩です。本サイトでは、この全体像をもとに「構造の安定(地震に強い家)」「劣化の軽減」「温熱環境・エネルギー消費量」など、各分野を一つずつ掘り下げていきます。気になるテーマから読み進めてみてください。 

主な参考資料
新築住宅の性能表示制度ガイド(令和7年12月1日施行版)
日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号)
住宅性能評価を受けなければならない性能表示事項を定める件(平成12年建設省告示第1661号)